初冬になり雑草の活動も休眠期に入りました。見かけるのは越年草のロゼットが多く、この状態だと雑草の種類を見分けるのに時間がかかります。そこで、趣向を変えて実の味覚シリーズをやっていくことにしました。
アオツヅラフジ
[味は?]
ほとんど味はしません。人によると舌に痺れがあるとのことですが、そういうものも感じませんでした。強いてあげれば、ほんの少しの辛味があるだけで、水分の多さだけが印象に残ります。
[匂いなど特徴は?]
匂いはありませんし、実の汁も透明で粘り気もないですね。毒草だと毒々しい色合いの汁がでますが、そういったものはありません。遠目で写真を撮ったら、皮の白っぽさと言いブルーベリーか、ぶどうの巨峰に非常に良く似ています。舌でゼリー状の実は簡単に取れますので、中の種をみたら芋虫かよく言えばアンモナイトのような種が出てきました。これはこれで見た目の気持ち悪さがあります。
[毒の成分]
ツル科の一年草です。根や葉にアルカロイド毒を含みますが、実(み)が最も毒が多いです。上に書いたように、水分以外には目立つような症状がまったくでないのも怖いです。
[体の症状]
筆者は舌で転がしただけで、飲み込んではいないですが、大量に摂取すると「幻覚」「めまい」が出てくる模様です。また、殺虫剤としても利用されるので、食べるべきではないです。
[利用法は?]
つるの太い所を切るか根茎の部分を採って、よく洗ったあと5mm位の厚さにして日陰で乾燥させたものを、5~8gを水で半量になるまで煎じ、一日3回に分けて飲むと、神経痛、リウマチに効果があります。
実(み)はどこにも利用法が書かれていないので、用いるべきではありません。
ヨウシュウヤマゴボウ
[味は?]
甘酸っぱい味がします。これだけだとほんとに食べられるものじゃないのかと勘繰ってしまうぐらいの誘惑に満ちた果実です。
[匂いなど特徴は?]
匂いはかすかなぶどう臭がして、食欲をそそります。実は紫色で、その汁もかなり色の濃い紫色になります。手についても水洗い程度ではなかなか落ちませんし、服に触れたらまず色は取れません。歩道脇にも生えていることもあるので、近づかないのが賢明ですね。
[毒の成分]
ヤマゴボウ科の多年草で、アルカロイドであるフィトラッカトキシン(phytolaccatoxin)、サポニンであるフィトラッカサポニン(phytolaccasaponins)、アグリコンであるフィトラッキゲニンが主成分です。毒性は、根>葉>果実の順に強くなっており、言ってみればこの植物全部が毒です。
[体の症状]
食してから2時間ほどで腹痛・ 嘔吐・下痢を起こし、ついで延髄に作用し、けいれんを起こして死亡するというおそろしい毒植物です。口に含んだときにぶどうに似ているので、秋口に実がなるので夏前には撤去してしまうのがいいようです。筆者は飲み込んでませんので、症状は出てません。そこまでの蛮勇はしませんので。
[利用法は?]
色素の強さはあっても、染料にすら利用法はありません。言うまでもなく、食用、薬用への利用法は皆無です。街のわずかな空きスペースにも生えてくるので、近づかないか見つけ次第、簡単に抜けるので抜根してしまうのがいいです。